秋深まり、日々寒さ増しておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、10月13日は何の日かご存知でしょうか。これをご覧になっている方々は、皆さんご存知のことと思いますが、10月13日は日蓮聖人が御入滅された日で、お会式といいます。「おかいしき」ではありません。「おえしき」とお読みし、本年は第736回目のお会式になります。当山でも10月13日には毎月の供養日と合わせて、日蓮聖人への報恩を捧げる法要を行いました。そして法要後には、境内の栗と新米を使った栗ご飯を、お参りに来られた方々と共においしく頂きました。やはり旬のものをいただけるのは有難いことですし、お経を読んだ後清々しい気持ちで皆さんと一緒に食事でき、より一層おいしく感じました。写真は栗ご飯と茹で栗を載せましたが、食べたいという人はぜひ来年10月13日にお参りいただければと思います。ご案内をお出ししますが、11月16日は開堂記念法要と合わせて改めてお会式を執り行いますので、こちらもぜひ大勢の皆様からお参りいただければと思います。
さて、前回の記事において六波羅蜜について解説していくことを宣言しておりましたので、今回はその一つ目「布施」について解説していきたいと思います。布施というと、一般の人がお坊さんに対して払うお経料のイメージがあるかもしれませんが、それは布施行のほんの一つに過ぎません。「布を施す」と書くように古くはお坊さんに布を施す、着る物を施すということがあったそうです。お坊さんが衣の上に着る袈裟、五条や七条も布を縫い合わせた名残であるといいます。このようにものやお金を施すことは、財施という布施行の一つで、他に法施や無畏施などがありますが、その中でも、「無財の七施」という誰にでもできる施しの行があるのです。
一、眼施 慈しみの目、優しい目つきで接する。
二、和顔施 いつも和やかでおだやかな顔つきで接する。
三、愛語施 ものやさしい言葉を使う。叱るときにも愛情ある厳しさをもつ。
四、身施 模範的行動を身を以て実践する。人が嫌がることも率先して取り組む。
五、心施 他人の為に心を配り、共に喜び、悲しみを共有する。
六、壮座施 他人の為に座席を譲る。
七、房舎施 雨や風をしのぐ所をあたえる。
上に挙げた7つの布施行は、ものを持たない人、お金がない人でもできる修行です。実践しようと思えば今すぐにでもできる事だと思います。そして布施行において一番大切なことは、自分が行った施しに対し、相手からの見返りを求めないことだと私は思います。自分のこれだけの行いに対し、相手は何をしてくれるのだろう、などと考えていては、それはもう施しではないのではないでしょうか。社会に生きる私たちにとって、とても難しいことではありますが、心の片隅に留めていただければと思います。
長文になってしまいましたが、お読みいただき有難う御座いました。これからますます寒くなってまいりますので、風邪などひかれませんように御身ご自愛下さい。合掌(副住職)