平成30年春祭り

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 4月16日、当山において春祭りを行いました。当山の春祭りでは、お釈迦様の誕生をお祝いする釈尊御降誕会と身延久遠会発会66周年を記念する法要を合わせて厳修致しました。
 お釈迦様は紀元前4~6世紀頃インドにお生まれになりました。伝承によると、ルンビニー園にてマーヤー王妃の右脇からお生まれになり、誕生後すぐに立って7歩歩き、「天上天下唯我独尊」と発せられたといいます。この言葉は、しばしば間違った意味で使われていると思います。「この世の中で、自分が一番偉い」という意味で広く使われているようですが、本来はそうではありません。本来は「この世に生まれた人は皆、他にかわることのできない尊い存在であり、その命のままで尊い」という意味なのです。私はこの意味を考えるとき、もう一つ思い出す言葉があります。それは金子みすずの「みんなちがって、みんないい」という言葉です。私が小学生のとき、この言葉が書かれた幕が学校に掲げられていました。その当時はお釈迦様のお言葉は知りませんでしたが、まさに仏教の精神があらわれている言葉だと思います。
 また、誕生仏の脇に3頭の象を安置させていただきました。この象は「かわいそうなゾウ」という絵本の中に出てくるトンキー、ワンリー、ジョンという名前の3頭の象です。このお話は実際に戦時中の上野動物園に起きた悲劇的な内容です。戦時中、空爆で檻が壊れて中の動物たちが外に逃げ出さないように、毒殺することになったそうです。しかし、頭のいい象たちは毒の入ったエサを食べず、しまいにはやせ細り死んでしまうのです。そんなかわいそうなゾウを、昔から先代住職夫妻は供養してきたこともあり、毎年この春祭りのときに皆様から頭をなでて供養をしていただいているわけであります。
 今回の法要を通して、人は、人種や肌の色、地位や職業等にかかわることなく、ひとりひとりが尊重されるべき存在であるということ、すべての生きとし生きるものへの供養の大切さを再認識させられました。 合掌(副住職)

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