3月21日、当山において春季彼岸会を執り行いました。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、その言葉とは裏腹に大変寒い彼岸の中日となりました。そんな中でも、多くの方々にご参拝いただき、ご先祖様も喜んでご供養を受けられたことだと思います。
さて、お彼岸は中日を挟んで前後3日間、合わせると一週間仏道修行に励む期間であります。では実際どんな修行をするのか、それが「六波羅蜜」という6つの修行項目なのです。前に「布施」について説明させていただきましたので、今回は2番目の「持戒」について説明していきたいと思います。
「持戒」は、「戒を持つ」ということで簡単に言えば、決まりを守る、現代的には社会的ルールを守るということになると思います。仏教では、在家信者が守る決まりに「五戒」というものがあります。それは以下の通りです。
一、不殺生戒・・・むやみに生き物を殺してはならない
二、不偸盗戒・・・人のものを盗んではならない
三、不邪婬戒・・・みだらな男女関係をもってはならない
四、不妄語戒・・・うそをついてはならない
五、不飲酒戒・・・大酒飲みをしてはならない
このような五つの決まりがあるわけですが、私たちは、毎日肉や魚など生き物の命をいただいて生活をしております。それ自体が不殺生戒にあたるのでは?と思われる方もいると思います。この点については様々な考え方があると思いますが、私はこのように考えたいと思います。食事をすること以外にも害虫を駆除したり、木を切ったり等様々な行為の中で、戒を破ってしまっていることがありますが、それらは、社会で生きていく上で必要なことでもあると思います。ですから、私たちは生きている中で、知らず知らずのうちに罪障を積んでしまっていると私は考えています。だからこそ、食事の前にはお題目を唱え、木を切るときには木を供養し、すべての命に対して供養をすることで、日々罪障消滅しなければならないのではないでしょうか。
3月、4月は季節の変わり目でもありますし、様々な変化がある時期でもあります。体調に気を付けて精進していきましょう。合掌(副住職)