なまぐさ説法 平成二十九年十月

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なまぐさ説法

            平成29年10月
 慈母への恩は命の成仏
 10月になりますと一年があっという間に過ぎる感があります。もうあと3ヶ月で新しい年になるからです。世間はお祭りで活気付いてきますが、心は秋の空の如く一喜一憂します。衆議院の解散が決まりました。あれほど解散に追い込むと言っていた野党は、解散が決まると逃げるのかと抗議。野党とはそういうものなのでしょうか。又、女性の味方と言われていた山尾志桜里議員のスキャンダルも、与党の解散のきっかけになったのではないでしょうか。
 日蓮大聖人は「千日尼御前御返事(せんにちあまごぜんごへんじ)」というお手紙の中で、うけがたくして人身をうけ。値(あ)いがたくして佛法に値い奉る。一切の佛法の中に法華経に値いまいらせて候。其の恩徳ををもへば父母の恩、国主の恩、一切衆生の恩なり(中略)其の中にも悲母の大恩 ことに報じがたし(中略)悲母の恩を報ぜんがために此の経の題目を一切の女人に唱えさせんと願す。」
 日蓮大聖人はすべての衆生の中でも、「母の恩」に光を当て女性を救おうとされました。何故でしょうか?
 実は昔の日本の仏教の教えでは、女性は不当に貶(さげす)められていました。神聖な場所には女人禁制と立ち入ることができなかったのです。日蓮大聖人の説かれる「女人成仏」に希望を抱いた千日尼に対して、女人を成仏に導く教えは法華経にしか説かれてないことを明かされます。我々は前世で尊い修行、努力をして、他人や自然に対して優しい思いで生きてきた結果、奇跡的に人間としてこの世に生まれることができました。そして生まれてきたこの世は、間違いなく浄土であると法華経には説かれています。浄土とはこれから行くところではなく、ようやくたどり着くことができたこの世こそ浄土であると。何故なら、私たちは間違いなく生かされているからです。この自然に、縁ある人たちに。そしてこの浄土に生まれてこれた一番大きな縁は母親のおかげです。
 そのことが説かれた法華経こそすべての女人を救える教えであると説かれます。母親無くしては、この浄土に生まれることはできなかったのです。父母の恩、国主の恩。様々な恩をあげられる中で、父の恩を「天」母の恩を「大地」に譬(たと)えて両親の恩を強調されています。
 その両親の恩はどちらが重いか比べ難いですが、母の恩は報じ尽くすことのできないほど大きなものと説かれています。
 我が命を生み出し、守り、育(はぐく)んでくれた母の慈愛は、人間が受ける恩の基本であり、万人を守り救いたいと願う仏の慈悲の心に通じるものです。
 我が命の成仏は母への恩を報じる事から始まるのです。
 

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