合掌
厳しい寒さの冬でありましたが、梅の花も咲き内船駅の桜もほころびはじめました。
皆様お変わりございませんか。
さて、来る三月十五日、内船寺開山収玄院日頼上人(四條金吾頼基公)第七百十九遠忌・殊勝院日眼上人(妻-日眼女)第七百十六遠忌の開山会(正当法要)を行いますのでご案内申し上げます。
当山は日蓮聖人に〝信者第一〟と讃えられた、四條金吾頼基公夫妻が晩年居られたところで、以来七百二十年余り、夫妻の墓所を護る寺であります。
日蓮聖人が晩年九箇年を過ごされた身延山に吹く風やゆるぐ木草、流るる水の音までもが妙法の五字を唱えるというならば、法華の大信者・頼基公夫妻の魂がとどまる当山にもまた妙法蓮華経の風が吹き渡っております。身延御入山の日蓮聖人を追って鎌倉からこの甲州内船の地に至った頼基公は、毎日どのような心持ちで暮らしておられたのでしょう。昼も日の射さない深山の庵室で修行される日蓮聖人のお体を案じながら「明日はこのお薬をお届けしよう」と妻日眼女と話していたでしょうか。「明日は」と言っても当時は富士川を舟で渡り山中に分け入ってゆくのですから、容易なことではありません。それでもきっと何度も何度も足を運んで御供養されたことでしょう。
頼基公のこうした医術的な支えが無ければ、厳しい身延の山中で日蓮聖人が九箇年も法華経の研鑽に務めることは叶わなかっただろうと頼基公に謝する声も少なくありません。そんなことを考えますと、頼基公夫妻の姿から〝ゆるがぬ信心〟で御題目を実践して生きることの大切さと〝誠を尽くす給仕奉仕の精神〟を改めて教えられるのであります。
当山開山会はこのように日蓮聖人を恋慕してここに至り、法華経(御題目)への不退転の信心と給仕に励まれた頼基公夫妻の御命日の法要で、正当というまさに夫妻の魂と呼応する最高の祈りの時間でありますから、そこにあなたが縁して参り祈ることの功徳は計り知れません。日頃ひとりで祈る時間も大切ですが、こうした寺での法要で僧侶の読経に導かれながら御経(御題目)を唱えることで、ひとりの時には得られない格別の信仰の喜び(法悦)が体感できるはずです。また僧侶だけが祈るだけではすべての平安は得られません。私たち民衆が祈りの導師である僧と共に祈ってこそ、世界がぜんたい幸福に向かうことができるのだと信じます。多くの以上人がもっと寺に親しみ、本堂という祈りの道場で腹の底から読経し御経(御題目)の雨を浴びて頂きたいのです。そして、心と体に満たされた喜びとエネルギーをもってさらにまた〝他のために生きる私〟となって下さることをお願いするばかりです。
法要後は北山本門寺より、藤先湛要上人をお招きしての法話があります。藤先上人の法話にさらに心眼を開いて頂ければ幸いです。皆様どうぞ御参拝下さい。
再拝
平成三十年二月吉日
内船寺住職 平原正雄 拝
檀信徒各位
記
日時 平成三十年三月十五日(木)午後一時
場所 内船寺本堂
法話 「四條金吾公夫妻の信仰心について」
大本山 富士山法華本門寺根源
布教部執事 藤先湛要上人
墓参 法要・法話終了後 御廟参拝
※墓参後、庫裡にてゆっくりとお茶を召し上がって下さい。
以上