開催日:2019年12月31日
ゆく年に感謝 来る年に願い」をこめて、深夜の静寂な空気と相まって心にしみわたる「除夜の鐘の音」が鳴り響きました。
除夜の鐘の由来は諸説ありますが、人の心には、惑わせたり、悩ませたり、苦しみの根源となる煩悩が百八つあります。その煩悩をはらい、良い新年を迎えるために108回つくとされています。
ですが多聞寺では「ゆく年に感謝の一打」「来る年に願いの一打」のひとり2打鐘をつきます。ゆうに108を超える数の鐘の音が鳴り響きました。
本堂にて「おとそ」、境内では甘酒とお汁粉が振る舞われました。
「おとそ」の「と(屠)」は邪気をはらう意、「そ(蘇)」は目覚めさせる意で、「お屠蘇」には、邪気をはらい力みなぎる生気を目覚めさせるという意味があります。
「春の初の御悦、木に花がさくがごとく、山に草の生出がごとし。」日蓮聖人『春初御消息』
「木に花が咲くように、山に草が生えるように、春の初めは芽出たい。」との御文で、正月とは蘇生の祭礼なのです。
「蘇生」とは、「よみがえり」「いきかえり」で生命を取り戻すことです。
新年とは、いったん終わりを迎えた年の生命が新たに始まることであり、木に花が咲き、山に草萌える、生命が春を迎えるがごときことです。一年の生命が新たに蘇るのです。
みなさまにとりまして、幸多き一年であることお祈りいたします。