お彼岸法話
明日からお彼岸です。
迷いや悩みの多いこちらの岸(此岸)から、心が穏やかな悟りの岸(彼岸)へと心を運ぶ、大切な節目の時期です。
私たちが日々の中で抱く悩みや生きづらさの多くは、実は外の世界ではなく、自分の中にある「~でなければならない」という強いこだわりから生まれていることがあります。
たとえば、「相手はこう動くべきだ」というこだわりです。
家族や職場の人が自分の思うように動いてくれず、イライラしてしまう。「普通はこうするでしょ」という自分の中の“普通”に囚われていると、心がいつも棘立ってしまいます。
「完璧でなければならない」というこだわりはどうでしょう。
家事も仕事も人間関係も、すべて100点を目指してしまう。少しでもうまくいかないと「自分は駄目だ」と落ち込み、その結果、心が休まる暇がありません。
仏教では、このように何かを強く握りしめて離さない状態を「執着(しゅうちゃく)」と呼びます。
ギュッと強く拳(こぶし)を握りしめていると、手も心も痛くなってしまいますよね。
では、どうすれば少し楽になれるのでしょうか。
すべてのこだわりを捨てる必要はありません。
「今日は、ひとつだけ手放してみる」でいいのです。
相手に対して「ま、いっか。人には人の事情があるな」と、相手の領分を尊重してみる。
「今日は70点できたら大満足」と、完璧じゃない自分にOKを出してみる。
ぎゅっと握りしめていた拳をパッと開いてみると、手の中に新しい風が吹き込んできます。
何かを諦めるのではなく、「執着をそっとほどいてあげる」。
それだけで、肩の荷がふっと下りて、心の中に静かで穏やかな「彼岸の風」が吹き始めます。
このお彼岸の期間、ご自身の心の中に握りしめている小さなこだわりがないか、優しく見つめ直してみませんか。
握りしめていた拳をパッと開きましょう
