先祖供養は佛教?
『ご先祖様に申し訳ない』
『顔向けできない』
『恥だ』
こういった考え方が、
多くの日本人の宗教観のようです。
日本では今、墓や仏壇仕舞いが盛んに言われていますが、
佛教発祥の地インドでは、今も昔も墓や納骨堂は無いようです。
亡くなった人は、川に流したり、鳥に食べさせたりする
という宗教観が今も続いています。
本来佛教は、
生老病死の四苦からそれを縁として、
この世をいかに大切に生きるか を説かれた教えです。
そしてその心をまとめあげたものがお経です。
先祖供養や葬儀は、中心思想ではありませんでした。
佛教が中国から日本に伝わる時に、
中国の宗教観(儒教・道教・位牌・盂蘭盆経など)を取り入れ、
先祖供養を大切にするようになっていったのです。
世の中にある様々な問題、
差別やいじめ、そして戦争は、
「やめようよ」という掛け声だけでは無くなりません。
そのことは、脳科学でも立証されつつあります。
『欲望』や『我(執着)』にとらわれるのが普通でしょう。
今、世界は、戦争の大きな原因となる、
宗教問題や領土問題等、差し迫った対応が求められています。
その解決には、心の建て直しが必要となります。
今こそ、心を映し出す本尊、
その道場としてのお寺や仏壇、
そしてお釈迦様の教えてある佛教が、
必要とされているのではないでしょうか。
(文)布教師会会長 鹿島市本長寺 辻雅英