「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、朝晩はひんやりと感じられるようになってまいりました。さて、当山では9月23日彼岸の中日に秋季彼岸会を執り行いました。
お彼岸は春と秋にあり、春分の日、秋分の日を中日として7日間にわたります。この時期にお彼岸があるのには諸説あるといいます。昼と夜の長さが等しいことから仏教の中道の思想と合致するので法要を行う説や、天地の諸神が交代する日として法要を行う説などです。お彼岸は仏道修行に励む期間であることは多くの人が知っていることと思いますが、では、それにはどういう意味があるのでしょうか。「此岸」此の岸から「彼岸」彼の岸にたどり着くための修行であります。「此岸」は常に変化し苦しみの多いこの世界を指し、「彼岸」は苦しみを離れた世界を指します。つまり、煩悩を脱して悟りの境地に至るために仏道修行に励むのです。
では具体的に何をしたらよいのでしょうか。それが布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六つの修行、六波羅蜜であります。皆様ご存じの通り、当山のお経本の終わりの方に六つの行いということで書いてありますので、今一度ゆっくりお読みいただければと思います。平たい言葉で書かれていて分かりやすいと思いますが、中には当たり前のことだと感じる人もいるかと思います。しかし、自分の日々の生活を省みた時に本当にこの六つの行いを実践できていると胸を張れる人はいるでしょうか。この機会に改めて考えてみていただければと思います。またこの六波羅蜜の修行については、このホームページの中でも詳しく解説していきたいと考えています。お彼岸のときだけ心がければいいというものではなく、普段からの心がけや行いによって、徳が積まれ、心を養うことにつながることと思いますので、共に日々精進していきましょう。季節の変わり目ですので、くれぐれも御身ご自愛いただきますようお願い申し上げます。 合掌(副住職)