お盆の由来

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 皆様、毎日暑い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。七月、八月はお盆の季節でありますので、今回はお盆の由来などを書きたいと思います。
 お盆は、正式には盂蘭盆といい、インドのサンスクリット語で「ウランバーナ」を音訳したものであり、お釈迦さまの十大弟子の一人である、神通第一とよばれた目連尊者のお話に由来します。
 ある時、目連尊者は、その神通力によって、亡き母、青提女(しょうだいにょ)が餓鬼道に堕ち、苦しんでいることを知ります。青提女(しょうだいにょ)は生前、非常に欲深く、物惜しみをして他人に与えることを嫌った為、その慳貪の罪によって餓鬼道に堕ちたのでした。餓鬼道とは前回、施餓鬼の説明のときにも少し出てきましたが、ものを食べたくても食べられない世界であり、目連尊者が、神通力で飯を差し出しても火となって燃えてしまう有り様でした。そこでどうすれば母親を救うことができるのかとお釈迦さまに相談したところ、「七月十五日、十方の聖僧を招き、百味の飲食を整えて供養すれば、母を救えるであろう」と言われたと伝えられています。目連尊者はその教えに従い、母親は餓鬼界から脱することができたといいます。
 その故事にならい、お盆はご先祖さまに報恩感謝する行事となりました。また、お盆はご先祖さまの魂が家に戻ってくる期間であり、各ご家庭でも精霊棚をつくり、盆の飾りつけをされるかと思います。地域・地方によって差異はありますが、一般的な盆の飾りつけの意味を少し紹介させていただきます。当山でお渡しする五色の施餓鬼旗ですが、五色=青(緑)・黄・赤・白・黒(紫)は仏教において、お釈迦さまの悟りの世界を色であらわしたものといわれています。五色を方位に配当すると、青(緑)=東、黄=中央、赤=南、白=西、黒(紫)=北となるそうです。古来、旗(幡)は、武士が戦場で自分の存在を目立たせるために用いられたそうですが、転じて、仏・菩薩の威厳を表すものとされ、五色をもって、全てのものへの供養を意味するのです。また、胡瓜の馬や茄子の牛を飾るのは、ご先祖さまに早く帰ってきていただく為の迎えの馬、ゆっくり送っていくための送りの牛という意味があります。茄子や胡瓜を賽の目に刻んで洗米と混ぜ、蓮の葉に盛るのは「水の子」といい、煩悩を鎮めるお供え物であり、餓鬼に対する施食を意味します。
 少し長くなりましたが、盆の飾りつけにも一つ一つ意味があります。これから月遅れの盆を迎えるに当たり、由来や意味を知っているのとそうでないのでは心持ちもかわると思います。お盆は、多くの人が故郷に帰省し、家族で集まったり友人と会ったりと賑やかに過ごすことが多いかもしれませんが、ぜひ、各ご家庭の仏壇をきれいにしてご先祖さまをお迎えする準備をしていただき、報恩感謝を捧げていただければと思います。  合掌 (副住職)

 写真は、蓮の花の蕾です。ちょうどお盆の頃咲きそうです。咲いたらまた写真を載せたいと思います。

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