コロナ禍と猛暑の中で信仰を貫く・・・令和2年盂蘭盆会・施餓鬼法要@梅津本福寺

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 一旦収束しつつあるかに見えた新型コロナウイルス感染ですが、全国的に再度感染拡大の傾向にあるとの報道が巷にあふれかえる昨今の情勢の中、一年中で最も多くの参拝者が集うお盆の各種行事を寺がどのような形で執り行うかが檀信徒だけでなく世間一般の関心を集めたようです。新聞やテレビの報道を見る限りでは、僧侶が檀信徒の家へお参りする棚経や寺での法要を取り止めたというような自粛モードのニュースばかり流されていたように思います。

 一僧侶としては、このような報道には色々な意味で違和感を覚えます。それらのニュースの内容は、世間の寺はすべて自粛モードにあるかのような印象を与えるものでしたが、そういう過剰なまでの自粛に走る寺はむしろ少数派ではないかと、限られた範囲ではありますが日頃の見聞からは推測されます。また、そもそも古来より疫病退散の祈祷や法要は仏教の重要な役割の一つであり、それらが伝統行事として今に受け継がれているという事実があります。現代社会では、仏教に医学的な意味での疫病退散の役割はありませんが、仏教の伝統を引き継ぐ者としてコロナ禍に自粛で対応するしかないというのは余りに気概がないのではと思えて仕方がありません。

 さて、梅津本福寺ではお盆最終日の8月16日、できる限りの感染拡大防止対策を採った上で恒例の盂蘭盆会・施餓鬼法要を執り行いました。午前9時から住職と修徒の2名で施餓鬼法要を勤めましたが、春季彼岸法要時の「参拝者なし」とは異なり、初盆をお迎えのご家族のみ法要に参列していただくことにしました。ただし、3つの密(密閉、密集、密接)を避ける意味から、予め十分な間隔をとって椅子席を配置するとともに、エアコン作動中ではありましたが本堂出入り口扉を開放し換気に努めました(写真上:3密を避けた法要の様子)。マスク着用については、特にこちらから要請はしておりませんでしたが、参列者全員が着用しておられ、檀信徒の皆様の生活意識の高さを改めて見た思いがしました。

 初盆以外の檀信徒の皆様には法要が終わる10時以降、それぞれ都合の良い時刻に参拝していただき、卒塔婆とお供養をお持ち帰りいただく「自由参拝」形式としました。猛暑の中ではありましたが、好天に恵まれたこともあり、参拝後多くの方々が近隣にある当山墓地に御先祖様の墓参りに出かけられました。なお、猛暑対策の新たな試みとして、墓参り向かう檀信徒が通る山門横の通路にミストシャワー装置を設置しました(写真下:井戸水によるミストシャワーの様子)。

 いつもは1年で最も多くの参拝者で賑わうお盆の法要ですが、コロナ禍と猛暑の影響で参拝者が減るのではと予想していましたが、150名を超える参拝者がありました。降って湧いた災禍を生活の知恵でしのぎつつ、信仰を貫く庶民の力強さに感慨を覚えた一日となりました。

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