妙法蓮華経の持久走 三周目 嘱累品第二十二

 先の如来神力品でお釈迦さまは、地より涌き出でた菩薩さまだけに法華経の布教を託されました。続いてこの嘱累品ではすべての菩薩さまに、法華経布教を託します。
 お釈迦さまは法華経の座に集まった菩薩さまたちの頭を三度なでられます。そして法華経の布教を菩薩たちに三度にわたり託されます。
 法華経を託された菩薩さまたちは大いに喜び、
「お釈迦さまのおっしゃるとおりに、法華経を弘めます」
と三度、誓われるのです。
 そしてお釈迦さまは、法華経聴聞のために集まられた十方の諸佛と、お釈迦さまを証明するために現れた多宝如来さまに、おのおの本土にかえられるように告げられます。
 十方の諸佛、多宝如来、地涌の菩薩さまなど法華経の座に集まった人々は大いに喜びました。

 さてこの嘱累品において、法華経の座に集まったすべての人々に法華経の布教を託されました。ふりかえりますと、お釈迦さまが法華経の布教を願われた時、多くの弟子たちは「刀や杖で打たれる」「石や瓦を投げられる」など弾圧を受けるので法華経を布教できません。この場所ではなく他の場所で説きます、など法華経の布教を断りました。そうすると地涌の菩薩さまが現れ、お釈迦さまの永遠の寿命があらわし、そして法華経を信じる功徳が説かれます。またお釈迦さまも過去世において、「刀や杖で打たれる」「石や瓦を投げられる」などにたえて法を説かれたことを明かされたのです。まずは地涌の菩薩さまに法華経布教を託し、そしてすべての弟子に法華経布教を託されました。
 つまり法華経を信ずるということは、布教を託されているのです。

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