妙法蓮華経の持久走 二周目 十三 鬼子母神

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 鬼子母神さまは、もとは鬼で万人の鬼の子の母であったので、鬼子母と呼ばれていました。鬼の子を養うため、町にきては幼児を奪いとって食い殺していました。
 人々がこれに困りお釈迦さまに救いを求めました。お釈迦さまは人々の悲しみを助けるため、鬼子母の末の子を連れ去りました。鬼子母は七日間、末子を探し求めたが見つからず、ついにお釈迦さまのもとを訪れ、末子の行方を尋ねました。お釈迦さまは、
「おまえは万人の子があるのに、ただ一子を失って苦悩している。ところが世間の人々は一子、多くとも三子五子であるのに、しかもおまえはその子供を殺したのではないか」
とその悪行を厳しく誡めました。鬼子母はやっと自らの悪事の罪をさとり、末子が戻れば二度と人の子を殺さないと誓ったのです。そこでお釈迦さまは鬼子母に末子を返し、鬼子母はお釈迦さまの弟子となったのです。
 仏弟子となった鬼子母は、佛道修行者を守るのみならず、子授け・安産・子育てと子供を守られます。鬼である鬼子母が、お釈迦さまによって鬼から転じて神となり、人々から鬼子母神さまと崇められるようになったのです。
 妙法蓮華経では、鬼子母神さまは十羅刹女さまとともに、法華経の修行者を守護すると誓われます。守護する方法の一つとして、修行者を悩ます者は、その頭を7つに割けるという荒々しい方法です。鬼転じて神となられたとしても、恐ろしいところもあります。
 そのような恐ろしい一面を、佛像で表現する時、鬼子母神さまの姿は破邪調伏を示すため、鬼の顔である怒りの表情を示されます。また子供の守護神として表現される鬼子母神さまは、優しいお顔で子供を抱き、手に多産の象徴であるザクロを持った姿をされています。
 鬼子母神さまに守って頂けるという感謝の気持ちを持ちつつも、もしも私が法華経を誤って伝えることがあるならば、頭が7つに割られるのではないかという密かな恐れもあります。

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