不幸になる権利
「文藝春秋」2月号より
さる国のプリンセスの結婚の話題が、世間を賑わせている。プリンセスの幸せを願う賛否両論が、まことに喧しい。
人の幸せを願うことは美しい。けれど自分が思い描く「幸せのカタチ」を手前勝手に押しつけてはならない。
この世の中の多くの人が、親や周りの人々の思い描く「幸せのカタチ」を、大なり小なり押しつけられて生きている。それを窮屈に感じた経験が、一度ならずあるはずだろうに、他者には平気で押しつける。
ある雑誌の記事に、プリセスには「不幸になる権利がある」との意見が載せられていた。「本来、どのような人生を歩むかは本人の自由意志によって選択されるべきものであって、他者がとやかく口出しすべきものではない。仮に不幸になったとしても、それは本人が選んだ道であり、尊重されるべきである」ということだろう。
本当の幸せは他の誰かから与えられるものでもなく、また他の誰かに奪われるものでもない。自分で見つけ出してこその幸せであり、すべての人が幸せになることができるのである。