音ちゃんを見てると、音ちゃんのお母さんがどんな人だったかわかる。わたしたち、死んだ人とも、これから生まれてくる人とも、一緒に生きてるのね。
坂元裕二『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう2』(河出書房新社)より
これはドラマの台詞。主人公・音に対して、良き理解者である静恵が語ったものだ。
日蓮聖人は人間の体と心は「父母の遺体」(浄蓮房御書)であると示された。私たちの肉体は、まぎれもなく父母の遺した体であるが、私たちの心、つまり感情や思考も、父母から引き継いだものだということである。
私たちは常に、父母や祖父母、その上の祖先と共に生きる存在なのであり、実は父母や祖先だけではなく、この世界のあらゆる存在からの影響を受けている。また自分も何かしらの影響を他に与えてもいる。
喜びも、悲しみも、過去から伝わり、さらには未来へとつながって、世界を作っていくのである。