LINE法話「サウナでととのう」

おはようございます。もうすぐ12月。気温もすっかり冬の寒さになってきましたね。
寒くなると暖かい所を求めてしまうものですが、最近サウナブームが到来しています。

ブームになる前は、若者にとってサウナといえば「おじさんの行く所」というイメージがあったそうですが、最近はサウナといえば健康に良い事や、メディア社会で情報が目まぐるしい時代に、ビジネスマンが様々な悩みやストレスを発散できる、心身を癒すことのできるスポットとして注目されています。

サウナに来る人の中には悩みやストレスという苦しみを抱えて来る人も多いようです。

そんなサウナブームの火付け役となった「サ道」というドラマでは、主人公が様々なサウナを訪れてサウナの施設の特徴や感想を語り、「ととのう」までの姿が描かれています。

『サ道2021第2話』では主人公達が仕事上での悩みや苦しみについての描写があります。コロナ禍で仕事が激減していた主人公が決まっていた案件がキャンセルとなり、そこでモヤモヤした気持ちを発散すべくサウナに行く事にしました。
主人公がサウナに入った後、露天風呂で整っていると、そこに2名の若いサラリーマンがやってきました。コロナ禍で「黙浴ルール」の中、その2人が主人公の横で大きな声で会社での愚痴を話していました。主人公は避ける様に、サウナの中に入っていきますが、その2人もまたサウナに。
またそこで2人が大きな声で愚痴を話しており、主人公がさすがに注意しようとした瞬間。
そこに自動ロウリュが3人の体を包み込みました。ロウリュとは熱した石にアロマ水をかけた時に発生する「蒸気」の事です。主人公はロウリュを受けながら、仕事や愚痴によって悩む自分の心を見つめてみました。自分の心との対話をしていると、ハッと気づきました。2人のサラリーマンもまた仕事での悩み・苦しみを発散する為にサウナに来ている。悩んでいたのは自分だけではなく、みんな苦しんでいたんだ。今が頑張る時なんだと気づき、心が整う事ができました。

この場面では、主人公は自分だけじゃなく、皆が様々な苦しみや悩みを抱えていて、皆、一生懸命に頑張っているんだ、コロナで苦しんでいるのは自分だけじゃない、今は耐える時なんだと自分を奮起させる事ができました。

皆、一人一人悩みや苦しみがあると思います。
苦しみの種類には様々あり、人は生まれる場所や条件を選べない。人は必ず歳を取り老いてしまう。病気になり、寿命がくれば死に至る。また大切な人や大好きな人であっても、いつかは離れなければならない苦しみ。大嫌いな人、顔も見たくない人でも出会ってしまう苦しみ。求める物が手に入らない苦しみ。自分の心や、自分の身体すら思い通りにならない苦しみ。

これらを仏教では「四苦八苦」と言い、人が避けては通れない根源的な苦しみを言います。

皆さんの悩みはどれかに当てはまる事でしょう。

今回の「サ道」のお話で言えば仕事が激減していく事による「求める物が手に入らない苦しみ」また、サウナで出会ったマナーの悪いサラリーマンは主人公にとって「嫌なものに出会う苦しみ」に当てはまるでしょう。

しかし、そんな苦しみから離れる為に仏道修行をされたのがお釈迦様です。お釈迦様は「此の経は能く一切衆生を救いたもう者なり。この経は能く一切衆生をして諸の苦悩を離れしめたもう」と説かれています。
この経とはお釈迦様が説かれた最上の教えである『法華経』です。その法華経の功徳を凝縮したお題目をお唱えし、行動する事で物事が良き方向に向かっていきます。

日蓮聖人は「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経とうち唱えさせ給え」と仰っております。これは苦しいときは苦しいままに。楽しいときは楽しいままに。自分のありのままの心を見つめ、南無妙法蓮華経とお唱えましようと御教授くださっております。

無意識のうちに情報や時間に縛られている現代の私たち。そんな中にあっても自分の心を見つめる事は大切なことです。悩みや苦しみが多いこの世界で、お題目をお唱えし頑張る貴方を仏様は必ず見守ってくださっています。

苦しい時も楽しい時も、お題目をお唱えすれば様々な感情で乱れた心が自然と整理され「心が整います」。
時には心を整える方法としてサウナに行くのも良いかもしれませんね。

その際はくれぐれも水分補給することを忘れずに。

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