LINE法話「周利槃特(しゅりはんどく)」

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皆様、おはようございます。
夏の暑い日が続いております。
こう暑いと頭がボーッとして忘れ物が増えたり、ミスが多くなったりしてしまいます。
そういうミスの連続から物事を途中で投げ出してしまったり、諦めてしまったりする事、ありますよね?

お釈迦様の弟子の中で、一番物覚えが悪いといわれていた周利槃特(しゅりはんどく)という方がいます。
どのくらい物覚えが悪いかというと、ときどき自分の名前すら忘れてしまうほどでした。
そのため、自分の名前の書かれた看板を背負って修行をしていました。
周りの弟子達からバカにされていた周利槃特は、あまりの自分の愚かさを嘆いて、
弟子をやめようと思いお釈迦様のもとを訪れます。
「お釈迦様、私はあまりに愚かなので、もうここにはいられません。修行を辞めさせてください」
するとお釈迦様が彼にこう言います。
「自分を愚かだと知っている者は愚かではない、自分を賢いと思い上がっている者が、本当の愚か者である」

すっかり弟子をやめようと思っていた周梨槃特は一瞬キョトンとします。
そして、お釈迦様はこう続けます「おまえの一番大好きなことはなんだね?」
周利槃特は、「はい、私は掃除が好きです」と答えました。
「そうか、おまえは多くのことを憶えられないようだから、その大好きな掃除をしながら、このように唱えるがよい」

「塵を払い、垢を除かん」(ちりをはらい、あかをのぞかん)

「はい、それなら、私にもできそうです!」
「そうか、ではがんばるのだよ」
お釈迦様にそう言われて嬉しくなった周梨槃特は、たまに忘れそうになりながらも「塵を払わん、垢を除かん」(ちりをはらわん、あかをのぞかん)と唱えながら、箒をもって掃除をしていきます。
一年、二年、五年、十年、二十年と、ひたむきにやっていきます。

その姿勢に、始めはバカにしていた他の弟子達も、次第に一目を置くようになり、やがてお釈迦様から言われたことを、ただ黙々と、直向きに、淡々とやり続けるその姿に、周利槃特を心から尊敬するようになりました。

そしてついに周利槃特は「阿羅漢(アラカン)」の境地に到達します。
「阿羅漢」とは、修行を行い、心の汚れや曇りを落とし、悟りを得ることです。

ある日、釈尊は大勢の人々を前にして、こう言いました。
「悟りを開くということは、なにもたくさん覚えることでは決してない。たとえわずかなことでも、徹底して行い続けることが大切なのだ。」
と仰られました。
不器用な周利槃特は1つの物事だけに取組み、それを1度も欠かさず行った事で悟りを得ました。

器用な人ほど物事を素早く吸収して上達は早いけれど、難しい事や出来ない事は簡単に諦めてしまう。不器用であればたとえ失敗しても難しい事に腰を据えて出来るまで根気強くできるのです。

日蓮聖人は
「水のごとく信ぜさせ給えるか、たうとしたうとし」と仰られています。
燃えさかる火の様な信仰も大切ですが、淡々と流れ続ける水の様な信仰こそが肝心であり、水がたゆまなく流れる様に、私達の日々の生活も水のように直向きに生きていく事こそが大切なのです。
昨日の自分に慢心せず、自分はまだまだだと直向きに今日も1日頑張りましょう。

最後に自分の名前も忘れてしまう周梨槃特。
自分の名前は何?それに草かんむりをつけて「茗荷」
「茗荷」は自分の名前も覚えられずに、名前の書かかれた看板を背負っていた周利槃特の墓から生えてきたと言われています。
そこから茗荷を食べると物忘れをしやすくなってしまう。と言われるようにもなりました。

皆さんも忘れ物はしないように気をつけてくださいね。

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