蔦屋重三郎に関する本の出版が増えてきました。その中でおすすめの書籍を少しずつご紹介したいと思います。まずは情報、研究、カタログ的な本を3冊。
1、歴史人別冊 2023年12月号増刊 「蔦屋重三郎とは何者なのか?」
蔦屋重三郎を扱った書籍の中で、比較的手に入れやすく情報がよくまとまったお買い得な雑誌です。蔦屋重三郎の生涯と生きた時代背景、蔦重を取り巻く多士済々の人物相関図など。後半には江戸時代のメディア事情や、吉原、江戸下町の町屋・長屋など当時の人々の暮らしについても、豊富な図版・資料で紹介されています(近隣日蓮宗寺院の先輩である要傳寺ご住職、高森大乗上人から教えていただきました。ありがとうございました。)江戸の暮らしにさらに興味のある方には、歴史人 2023年8月号 保存版特集 「江戸の暮らし大全」もおすすめです。
2、展覧会図録 「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は 蔦屋重三郎」
2010年の暮れにサントリー美術館で開催されました。展覧会の図録だけに、装丁のきれいさや作品の写真・その研究解説は質量ともに充実しています。ただ現在美術館の在庫はなくなってしまったようで手に入りにくいところが難点です(オークションや古書店なども出物が少ないようです)。
3、別冊太陽 1995年春号 「蔦屋重三郎の仕事」
この本も内容が豊富で装丁と写真がきれいな良い本です(一番のおすすめかも)。しかしこれも手に入りにくいです(私はオークションで買いましたが定価より結構高い購入になってしまい残念でした。復刻されて買いやすくなるといいですね)。この本のいいところは・写真が大きくてきれい・黄表紙 恋川春町作「廓𦽳費字尽」の鈴木俊幸さんの詳しい解説・ファンアンチ含めた色んな人が蔦重を語るコラム、があることで、「好きものが作った本」という感じで趣味性が一番感じられます。
どの本も研究資料としてもしっかりしていて、写真図版が多く気軽に見やすい、時代背景なども含めて蔦屋重三郎について広く知ることができます。本屋さんに行けばすぐ買えるという風にはいかないので、ちょっと不親切な紹介で申し訳ありません。もしお寺にご参拝されお声がけ頂く機会があれば、お見せすることもできるかもしれません。よろしくお願いいたします。