「なんみょーさん、あん」26’9

この夏、甲子園で有明高校が素晴らしい戦いを見せてくれました。初めて立つ甲子園の舞台で、何度も苦しい場面に追い込まれながら、最後まであきらめない。そして、見事な逆転勝利を重ね、ベスト8という素晴らしい成績を残しました。

途中でエースピッチャーが怪我で欠場、選手たちにとっては、大きな不安だったことでしょう。それでも、投げる人、守る人、打つ人、ベンチから声をかける人。それぞれが「今、自分にできること」を精いっぱいやり、仲間を信じて戦いました。一人では難しいことも、みんなで力を合わせれば乗り越えられる。その思いが、何度もの逆転劇につながりました。

野球には流れがあります。点を取れなければ不安になり、エースが打たれれば動揺が広がる。それでも、一つのアウト、一つのヒット、一つの声援が流れを変える。気がつけば、負けていたはずの試合が逆転へと向かっている。そこに私は人生の姿を見ます。

人生もまた、思い通りにならない出来事が突然訪れます。しかし仏教では、苦しみもまた縁によって起こり、その縁をどう受け止めるかで新しい力が生まれると説きます。エースの怪我という困難があったからこそ、他の選手が責任を背負い、仲間との結びつきが強まったように、逆境は私たちに気づきを与えます。支えてくれる人のありがたさ、日常の尊さ、そして自分の中に眠る力。

日蓮聖人は、いかなる大難にも屈せず法華経の信仰を貫かれました。大切なのは困難のない人生ではなく、困難に出会ったときに逃げず、仲間と支え合いながら一歩を踏み出すことです。野球の試合が九回裏まで終わらないように、人生も最後の瞬間まで何が起こるか分かりません。

有明高校の選手たちが教えてくれたのは、勝つことの素晴らしさだけではありません。苦しいときこそ、仲間を信じること。自分にできることを続けること。そして、最後まであきらめないこと。それは、私たちが人生を生きていくうえでも、大切なことではないでしょうか。たとえ今、苦しい場所に立っていたとしても、まだここからできることが、きっとあります。お題目の力をいただきながら、今日を一歩ずつ歩んでいきたいものです。
合掌

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