笑ったり 転んだり
朝ドラ『ばけばけ』が終わりました。「人は変わるもの、そして変われるもの」という仏教の大切な視点がこのドラマでは描かれているように感じられました。
物語の中で登場人物たちは、思い通りにならない現実や、人とのすれ違い、自分自身の弱さに戸惑いながらも、少しずつ変化していきます。その姿は、まさに私たちの生き方そのもの。
仏教では「諸行無常(しょぎょうむじょう)」と教えます。この世のすべてのものは、常に移ろい変わり続けているという教えです。嬉しいことも、悲しいことも、良い自分も、嫌な自分も、同じところにとどまり続けることはありません。
しかし私たちは、ともすると「このままでいたい」「変わりたくない」「あの人はこういう人だ」と、物事を固定して見てしまいがちです。そこに苦しみが生まれます。変わりゆくものを、変わらないものとして捉えてしまうからです。
『ばけばけ』の中で描かれる“変化”は、決して劇的で大きなものばかりではありません。日々の何気ない出来事の中で、少し心の向きが変わる、誰かの言葉で見方が変わる、その積み重ねです。これは仏教でいう「縁(えん)」のはたらきです。人は一人で変わるのではなく、人や出来事との関わりの中で、自然と変えられていく存在です。だからこそ、出会いや出来事のひとつひとつが尊いのです。
また、「ばけばけ」という言葉には、どこか“化ける” “姿が変わる”という響きがあります。けれども仏教的に見れば、それは本来の自分を偽ることではなく、むしろ執着を手放し、より柔らかく、素直な自分へとひらかれていく過程とも言えるでしょう。
日蓮聖人も、「心こそ大切なれ」と説かれました。外側がどう見えるかではなく、その内側の心がどう変わっていくかが、人生を豊かにしていく鍵です。
うまくいかない日、思い通りにならない自分に出会ったとき「自分はダメだ」と決めつけるのではなく「今はそういう縁の中にいるのだな」と受け止めてみてください。そして、南無妙法蓮華経とお題目をお唱えする中で、少しずつ心がほぐれ、また新しい一歩が生まれてきます。
人は、変わるもの。
そして、変われるもの。
そのことを、笑ったり転んだりしながら、やさしく教えてくれる物語だったなぁとしみじみ思いふける「ばけばけロス」の住職です😢 合掌


