八月 なまぐさ説法

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

随他意(ずいたい)と随自意(ずいじい)                           平成30年8月

 合掌 6月は大阪を中心とした大規模な地震。7月は大雨による洪水やがけ崩れによる大きな被害。心より被災地の皆様にお見舞い申し上げます。
今月は台風の多発する季節です。身の危険を感じたら、先入観にとらわれず速やかな避難を心がけて下さいね。
鎌倉時代も大きな災害が多発した時代です。その時代神や仏にすがる気持ちでたくさんの仏教各宗派が生まれた時代でもあります。仏のどの教えでも成仏はできるはずだと信じられていました。日蓮聖人は、仏の教えには「随他意」と「随自意」の二つの法門に分けられていると明かされています。随他意の教えと言うのは人々の機根(きこんー能力)に応じて説かれた経典の事です。浄土経・阿弥陀経・大日経・般若経等がこれに当たります。随自意の教えとは仏の教えをそのまま説いた法華経をあらわします。
随他意を分かりやすく言うと、子の心に親が従う事であり 随自意を分かりやすく言うと、親の心に子が従う事であります。
例えばわがままな子供の心を親が満足させようと親が尽くしても、いつまでも甘やかしていれば善悪の分別が出来ないまま大人になり、育てられた子供も社会に対応出来ずいずれは不幸に陥ってしまいます。だからこそ親は子供の健全な成長と幸せを願い、少しやかましいくらい正義や真実、善悪をしっかり教えるのです。しかし、今は子供を叱る親がだんだん少なくなって来ています。学校の先生も子供を叱りづらくなって来ている風潮ですね。
先日もある食堂で、子供が後ろの席のおじさんの頭をポンポン叩いていて、見かねた隣の奥さんがこの子のしつけをなんとかしなさいと子供のまだ若い親へ言うと、人の子供のことに口出ししないで下さいと逆ギレしていました。奥さんも口をポカンと開けて「はあ?」もう呆れるしかありません。この子供の将来が不安ですね〜
随他意の経典は、親である仏が子を表す一切衆生のわがままな心を満足させるために説かれた教えです。人々の好みに合わせて説かれているので理解しやすいですがどこまでいっても衆生の境涯に留まったままで、仏の境涯にたどり着く事は出来ません。
ですから、日蓮聖人は随他意の経典では、仏説なれどもこれを信ずれば衆生の心にて永く仏にならずと説かれています。
それに対して法華経は仏の真意をありのままに余すところなく説かれた随自意の教えであるので、理解が及ばずとも素直に信じていけばいずれ仏の心と一切衆生の心が合わさって、自身の内に仏の心が涌現(ゆげん)するのであると言われています。
お盆を迎える今月、ご先祖様に「随自意」たる法華経を読み、我が身の成仏=ご先祖様の成仏と願いご供養しましょう。
                                             法華寺霊神祭引用
 

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

一覧へ