五月 なまぐさ説法

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 葬儀について                                      平成30年5月

   鉄人と呼ばれた衣笠祥雄さんの訃報が放送されました。鉄人も野球を辞めると普通の人であったのですね。今年に入ってから、星野仙一さん、山本功児さんと小さい時に野球で熱中させて頂いた方たちの連続の訃報です。衣笠さんは71歳。星野仙一さんは70歳。山本功児さんは64歳。スポーツ選手の選手寿命は短いですが、寿命も平均よりかなり短いですね。謹んでご冥福をお祈りいたします。
昨今葬儀の形が大きく変わってきました。家族葬、直葬とそれがいかにも美学であるかのように、なるべく他人に迷惑にならないようにひっそりと送ってくれと遺言を残される方もあります。また,老いてからの過ごし方も変化してきました。60歳より介護付有料老人ホーム。住宅型有料老人ホーム(エイジングホーム)。サービス付き高齢者向け住宅。65歳よりグループホーム。介護ホームや介護型マンション。シニア向け分譲マンション。ケア付き高齢者住宅(ケアハウス)。特別養護老人ホーム。介護老人保健施設。介護療養型医療施設。結構沢山有るものです。
こういったサービスにより、施設で亡くなられていくケースも多いと聞きます。病院で亡くなられた場合はまず自宅へ向かい枕経。そして自宅で通夜、葬儀という流れが今まででしたが、もう自宅のない方。自宅があっても同居の方がおられない方はそのまま葬儀会館へ送られる方も今は多いようですね。生前にご縁のあった方は沢山おられるはずなのに、それらの方々も最後を知る事も難しくなってきました。
子供も少なってきた事もありますが、子供の負担になりたくないと思われる方もあるでしょう。しかし知らせる方を少なくしていく事によって、いろんな壁が回りの人と生まれていきます。その壁が子供さんの未来をもっと寂しくしていくでしょう。負担になりたくないという思いは、どんどん子供たち、孫たちに壁を作らせ人から遠ざけて寂しくさせていくきっかけにもなっていくのです。そして後から知らせを聞いた方々が、突然弔問に来られ慌てる事にもなります。通夜・葬儀の形は実は合理的な形です。急な事ですので一度にお知らせはできません。でも、通夜・葬儀に縁のあった方々をお呼びして、来られた方があの方も生前にお世話になったからとお声かけをしていただけます。そうして三日間のうちに色んな方々の生前のご縁を知り、故人が生前にお世話になった事への感謝の心を表すこともできます。
でも、会館ではなくて、せめてもの最期通夜は実家で、葬儀は菩提寺(生前の宗教に関わる施設)に於いて質素に厳(おごそ)かに勤めてあげるほうが、成仏の道にかなり近くなるのではないでしょうか。NHKでも放送された小さな火葬と寺のタイアップで全ての費用も最小限に抑えられます。
寺の本堂は会館のように差し替えられる本尊ではなくて、何十年・何百年とお経の上がった御本尊です。そのままが葬儀道場にもなります。華美に飾られた場所よりも重みがあります。でも、会館では何もかもお任せで世話が無いと感じるのでしょう。でも、値段は寺で行うよりも家族葬でさえどんどん高額になっていきます。普段から寺との縁を深くしていく事が、実は最も子供や孫達にとっても大切な事です。そのように働きかけていく事が寺の住職の務めです。自分の最後をどのようにという事を、私も考える歳になってきましたね。
                                          法華寺  霊神祭引用

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