正義と力

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阿修羅は正義の神!
そして帝釈天は力の神!
この二人の神は仲が悪く、いつも争っていたのですが、
しかし勝つのは決まって力の神である帝釈天!
どうしてでしょうか?
 
ある日、帝釈天の軍勢は負け戦にあって、敗走の真っ最中でありました。
後ろからは阿修羅の軍勢が追ってきています!
ところが、帝釈天の逃げる道の前に、アリの横断行列があったのです!
小さなアリですが、その数は数万匹にもなります。
このまま帝釈天の軍勢が走り続けると、アリは踏みつぶされてしまいます。
突然、帝釈天が、
「止まれ~!全軍止まれ~!!このまま軍が進むと沢山のアリの命を奪ってしまう。全軍来た道を引き返せ。」
と、部下に命令を下しましたが、参謀が言い返してきます。
「帝釈天様、そんなことをすれば後ろから追ってきている阿修羅の軍勢に我々は殺されてしまいます。このまま進むのが得策かと・・・。」
それを聞いた帝釈天は、
「馬鹿者よく考えろ!アリを犠牲にしてまで逃げる将があるか!引き返せ。」
そこで今度は全員が阿修羅の軍勢めがけて走り出しました。
一方、阿修羅の軍勢はビックリしました。
「ムムっ!これはおかしいぞ…。何かの計略か?それとも援軍が来たのか?
え~い全軍退却!退却~!!」
阿修羅は部下に命じ、今度は阿修羅の軍勢が、帝釈天に追われる形となったのです。
このときの戦いも、やはり帝釈天の勝利に終わったそうです。
asyura
 
「お釈迦様。どうして正義の神がいつも力の神に負けるのですか?正義が力に負けるのはおかしいと思います…。」
お釈迦様は弟子たちに教えられます。
「では逆の場合を考えてみなさい。阿修羅が逃げているときに、アリの大群を見つけたらどうなるでしょう。きっと…、我々は正義の軍勢である!正義が滅びると闇になる。アリを犠牲にしてもいいから正義を守ろう!…と、言っただろうね。」
弟子は大きくうなずきます(゚ー゚)(。_。)ウンウン
「この阿修羅と帝釈天の戦いは、自分のことしか考えていない者と、他人を思いやる者の戦いなのだよ。そこに正義はないのだよ。思いやる方が結局勝つんだよ!」
と、教えを説かれたそうです♪
正義が全てではないのですね!他者を思いやる心こそが正義なのかも!?
インドの神話は、私たちに大事なことを教えてくれていますね(。-人-。)

参考文献
ひろさちや:著
「仏教ちょっといい話 和尚になった泥棒」より
 

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