妙法蓮華経の持久走 法華七諭 長者窮子の譬え

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 長者窮子の譬えは、妙法蓮華経信解品第四に説かれます。四大声聞である須菩提尊者、迦旃延尊者、摩訶迦葉尊者、目犍連尊者が自分たちの理解を、お釈迦さまにつたえます。

 息子が行方不明になった長者がいました。多額の財産も引き継ぐものがなく嘆いていました。ある日、長者が門の外を眺めていると、そこに行方不明になった息子がいました。長者は急いで使いの者に息子を連れてこさせましたが、息子は豪華な建物や富貴な人々に恐れていたのです。息子は「私は何も罪をなしていない」と言って逃げようとします。長者は息子が貧しい暮らしをしていて、おびえていることがわかり、息子を解き放ちました。
 長者は使いを出し、息子を掃除係として雇いました。そして長者は息子と同じ粗末な衣服を着て、息子に「ここで働けば衣食に困るまい。しっかり仕事に励みなさい。私はおまえを息子のように思っているよ」と告げました。
 時がたち息子は真面目に仕事を続け、様々な仕事を覚え、蔵の宝物の管理を任せられるようになりました。息子は財産管理を任せられても、質素な生活を続けていました。
 そこでようやく長者は息子が我が子であることを周囲に知らせ、財産をすべて譲り与えると宣言しました。息子は大いに喜び「このような財宝を自分のものにしたいとは思っていませんでした。父の導きにより財宝を得ることができました」と父である長者に感謝したのでした。

 この諭えでは、長者がお釈迦さま、息子が須菩提尊者などの弟子たちにあたります。お釈迦さまは教えを伝えたいと思っていたのですが、弟子たちは自分で限界を決めて、お釈迦さまのようにはできない、と思い込んでいました。ですのでお釈迦さまは「掃除」のような簡単な教えから始めるとともに、「息子と同じ粗末な服を着る」ように、弟子たちと同じ目線にたち、「仕事に励め、息子と思う」と叱咤激励されてきたのです。そして弟子たちは「長者の宝を管理する」ように、お釈迦さまの教えを人々に説いてきましたが、自ら行うことをしていないと反省しました。弟子たちは、お釈迦さまと同じように人々を導くことを誓われたのです。

 弟子である長男がまだ小さかった時、お経練習をしました。私が師匠にしていただいたように、弟子にお経練習をするのですが、同じ所を間違える。早く終わってほしそうな顔をする。少し困ってしまうのですが、はっと気づくのです。そこに座っている弟子は昔の私。困っている私は昔の師匠。早く終わってほしいと思っていた過去の自分に反省し、辛抱強く指導をしてくれた師匠に感謝しました。また上手く弟子を指導できない自分に反省し、師匠を思い出させてくれた弟子にも感謝しています。

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