だんしんきょう 令和5年 1月号

開催日:2023年01月01日

池上幸保氏
日蓮宗全国檀信徒協議会会長

 明けましておめでとうございます。令和5年の新年にあたり、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年は終息を見せないコロナ禍に加え、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻という信じられない暴挙により、我が国はもとより世界中が大混乱に陥り、今なお先が見通せない状況にあります。エネルギー資源や穀物の供給体制が大きく乱れたことにより、物価が高騰し世界経済は混迷の度を増しています。
 複雑な条件が絡み合う国際政治について単純に語ることはできませんが、自国の一方的な論理で、武力をもって他国を侵略するようなことが許されるはずはありません。突然日常生活を奪われ、家族や友人を失い、傷つけられた多くの人たちのことを思う時、恐れ、怒り、悲しみを禁じえません。人間は何千年という時をかけて何を学んだのでしょうか。さまざまな分野で多様化の尊重が求められていますが、政治体制や、宗教、人種などの違いを超えて共栄することはできないのでしょうか。
 人が何かを考え行動を起こすときの判断基準となるものの1つに、宗教があります。それは適切な行動だけではなく、場合によっては不適切な行動にもつながる恐れがあります。私たち日蓮宗徒はお題目に導かれ、他者を尊重し、利他の心で安穏な社会づくりを目指して日々の生活を大切に生きていくべきであると思います。
 この3年間はお寺や宗門の活動が制限され、信仰を共にする人たちの集まる場が少なくなってしまいました。この間にも世代交代は進んでおり、お寺離れが助長されることが危惧されます。コロナが完全になくなることはないという前提に立ち、感染対策を講じつつ各種行事を再開しましょう。
 昨年来クローズアップされている某教団の会員の中にも、菩提寺は日蓮宗でありながら、菩提寺との関係が希薄であったという人がいるかもしれません。邪な教えに惑わされ、社会に害を与えるような行為をするような人を出してはなりません。
 先祖から受け継いだ信仰をいかにして次世代に伝えていくかは喫緊の課題です。この課題に取り組むべく、全国檀信徒協議会では宗門のご指導を受けながら、教区・管区の檀信徒協議会と連携して、次なるアクションプランを検討したいと考えています。本年も引き続き皆さまのご協力をお願い申し上げます。
 末筆になりましたが、今年1年の皆さまのご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
南無妙法蓮華経

 

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