だんしんきょう 令和4年 12月号

開催日:2022年12月01日

齋藤高蔵氏
全国檀信徒協議会常任委員
栃木県檀信徒協議会長
宇都宮市妙金寺総代
昭和24年8月10日生まれ
趣味:旅行

 新型コロナウイルス感染症の蔓延が始まってから3年目の令和4年が、いよいよ終わろうとしています。昨年の第5波、今年に入り第6波、第7波となかなか収束が見通せません。一進一退の非常にもどかしい日々が続いてきたように感じております。
 一方社会では、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、原油をはじめ資源・エネルギー価格の高騰、物価の上昇に拍車がかかりました。その長期化が懸念される中、円安の傾向も加わり、経済界はもとより我々一般世帯にも、大きな不安と影響が出ています。
 これらのことを思うと、世界はつながりあっているのだと痛感します。早く新型コロナウイルス感染症の特効薬が開発され、コロナ以前の生活に戻り、ウクライナにも平和が取り戻せることを祈ります。
 コロナ禍の中、今まで長年にわたって行ってきた様々な行事や人の集まりがどんどんと中止・延期になってしまいました。長年受け継がれてきた地域の伝統的な祭りや地域の人たちが交流を深めるための行事がないのは寂しいものです。
 祭りやイベントなどでは3年も開催されないと、再開するにあたり人集めややり方などのノウハウがわからなくなり、大変な苦労と支障が起きることが予想できます。そんなことからなし崩し的に伝統行事の灯が消えてしまうとしたら残念でなりません。行事を継続させること、伝統を築き上げることはたいへんなことだと改めて感じています。
 今、寺を護持するお手伝いをさせていただく立場の者として、寺の行事も大きくやり方を変更せざるを得ない状況になっていますし、変化していかなければならないと感じています。
 そのひとつとして、1人の人間の人生最後の儀式である葬儀のあり方もコロナ禍のなか大きく変化せざるをえなくなっています。考えてみれば常識が常識でなくなる分岐点に、私たちは今いるのかもしれません。世の中、これからウイズコロナということで、今までのやり方を見直ししなければならないことがたくさん出てくることでしょう。そんな中で、たとえ形は変わったとしても、今までのやり方の中にある「大切な心の部分」はしっかり伝え遺さなければならないと痛感しています。こういったことを訴えていくことは年長者の務めであると思います。
 コロナ禍はいろいろなところで、人と人のつながり、つまり「縁」を断ち切っていきました。仏教は「縁」やつながりを大切にする教えです。分断された縁やつながりを結び直すことは、仏教徒の大切な役割だと思います。住職・寺の役員・檀信徒が中心になって「縁」と繋がりと温もりのある社会の再構築に努めていきましょう。
 

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