だんしんきょう 平成28年 10月号

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全国檀信徒協議会 会長
池上 幸保 氏

 長崎原爆死没者追善供養と世界立正平和祈願法要が8月9日に長崎市本蓮寺で営まれました。日蓮宗全国檀信徒協議会を代表して私と武田家治副会長が参列いたしました。
 日蓮宗では、日蓮聖人降誕八〇〇年を目途として「立正安国・お題目結縁運動」を展開中ですが、その大きな柱として「平和」や「いのち」の大切さを訴えています。なかでも戦後70年の節目となった昨年の広島市での法要と今回の長崎での法要は、戦争のない世の中を目指そうという宗門運動を象徴する法会であったといえるでしょう。
 法要に先立ち平和公園での一読に続いて、全国から集まった青年僧侶と長崎県の有志檀信徒のみなさんによる唱題行脚が行われました。長崎は夏真っ盛りで、連日猛暑日が続いていました。この日も朝からじっとしているだけで汗が噴き出すような陽気でした。流れる汗を拭おうともせず、力強くうちわ太鼓を打ち鳴らし、大きな声で唱題するみなさんの姿には心打たれるものがありました。
 それを感じたのは私たちだけではありませんでした。その尊い姿を見て海外からの観光客や道行く市民の方が合掌をする姿があったのです。これこそが、仏の心が新たな仏の心を育むことを目指す宗門運動のひとつの開花だと感じた次第です。
 折りしも今は宗門運動の開花活動期にあたります。運動開始から、播種活動期間、育成活動期間を経て小さな花かもしれませんがちらほらと花が咲きだしたことと思います。宗門と檀信協が連携して、平成30年の開花活動期終了までに、もっと大きな花をもっとたくさん咲かせていければと思っています。
 それには、全国の檀信徒のみなさんが、今まで以上に宗門運動への参加意識を持つことが必要です。毎年終戦記念日に営まれる東京・千鳥ヶ淵での慰霊法要をはじめ、宗門運動に連携した法要はたくさんあります。積極的な参列はもちろんですが、それがかなわない方はどうか法要の時刻に合わせてご自宅の仏壇で手を合わせていただければと思います。
 さて、そんな大切な仏壇を失ってしまった仲間がいることを思い出してみてください。長崎のお隣、熊本県の仲間たちのことです。4月に起きた熊本地震によって仏壇が壊れてしまった家庭がたくさんあると聞きました。
 日蓮宗全国檀信徒協議会は5年前に、東日本大震災で仏壇や位牌を喪失してしまった檀信徒や避難生活を余儀なくされている檀信徒に対し、お数珠を贈呈しました。今回の熊本地震においても、ご先祖の追善供養いただくためのご本尊仏壇(簡易仏壇)を贈呈するべく準備中です。
 祈りの対象を持つことが、皆さまの安穏な暮らしにつながりますよう願っております。

 

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