だんしんきょう 平成28年 9月号

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家族でお寺へ行く習慣づけを
 
全国檀信徒協議会常任委員
東京都南部檀信徒協議会会長
岡田 一弥 氏

 
  菩提寺に最初にお墓参りに行った時の明解な記憶をお持ちでしょうか?
私はありません。実はこれは正確な表現ではありません。私は家族と共にお寺の行事によく参加をしていたので、物心ついた時には法事ならずとも山門をくぐることは特別な事柄ではなかったからです。
 菩提寺と私の自宅が数百メートルの至近距離にあるという大変恵まれた環境にあることは大きな要素であったと思いますが、それを割り引いたとしても、季節のお寺の行事はある意味地元密着のイベントのような側面も持っており、子どもの頃には、お会式など楽しみなものでありました。また、お寺からの配りものの書類のお返事などをお返しするお使いを祖父母から言い遣ってお寺に行くこともしばしばだったと記憶しています。
 このことは、祖父母から私の代になっても大きく変わってはおりません。お彼岸、お盆、お会式など、家族一同であたかもお祭りに行くかのように毎年季節ごとに参加をしております。私たち夫婦+娘2人+息子3人+長女の連れ合い+孫と大部隊(笑)でお寺に行くことも珍しくありません。
 しかしながら、最近一般的には、菩提寺を何気無く訪れることはレアなケースになってきてしまったのかも 知れません。親族にご不幸があって法事に行ったのが、初めて菩提寺に行った時ということになるというわけです。核家族が当たり前になりお家にお守りする仏様がいらっしゃらない、ですからお仏壇もないかもしれない、となれば致し方無い現象ということになるのかもしれません。
 こうなれば信仰の相続は容易なことではないのは明白です。私は、まず、とにもかくにも、なるべく幼いうちから一緒にお墓参りに行くべきだ。菩提寺の年中行事に参加するべきだと思っています。宗教的な内容の話は後からで良いと考えています。それより、家族みんなで特別なことでなくお寺に行く習慣を持つことが重要ではと考えるのです。菩提寺に行けばまずはお墓参りをするでしょう。ご先祖さまの眠るお墓はやはり汚れたままでは何ですから掃除をしてきれいにした方が気持ちも良いに違いないでしょう。そして、あわよくば畏怖の念を漠然とでも感じてくれれば大いに結構!といったところでしょう。現代社会に欠落しているものの一つがこのような感覚なのではないかとも思うからです。
 勿論、大人だけでなく子供たちもハードル低くお寺に行くようになるためには、お寺側も、沢山の魅力ある行事や幅の広い取り組みを行う努力が求められるのでしょう。
 しかし、お寺と私たちの距離を縮めるために檀信徒側だけですぐさまできる行動はお寺を訪ねることです。ネット社会であるからこそそうではないかと確信するのです。私たちが私たちの子供たちにできる機会が少しでも多いうちに理屈ではなく日常として実行することを、なるべく沢山の方々にお勧めしていくことが信仰の相続の一里塚ではないでしょうか。
 

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