行脚:歳末助け合い唱題行脚

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年末の大切な恒例行事
 師走に入ると、我が日蓮宗の各管区では歳末助け合い募金行脚を行います。もちろん山日青においても恒例行事であり、毎年12月1日におこなっております。南アルプス市にございます長久寺様を拠点に、同市内を声高らかに「南無妙法蓮華経」の御題目を唱え、力強く団扇太鼓を打ちながら行脚いたします。道のりにして約7キロ。行く先々でお寄せいただいた真心のこもった尊い浄財は、YBS文化事業団へお届けさせていただいております。
 青年僧と呼ぶには厳しい30歳代終盤を迎えた私は、20歳代会員青年僧の若さ溢れる力強い唱題の声に背中を押されながら、今回初めて南アルプスの街を唱題行脚させていただきました。
 
冷たい小雨が降る中での出発
 当日は雲行きがあやしく、自分のお寺を出発する頃は小雨が降っている状況でした。雨天決行の準備をしながらも、中止になるのではないかという不安を抱えながら集合場所である長久寺様へ向かいました。しかし、長久寺様へ到着する頃には雨粒は次第に少なくなり、私の不安は杞憂に終わりました。これも御本仏のご守護であると有り難く思いました。
 今回参加の青年僧は全9名。例年より少ないとのことでしたが、そこは少数精鋭。速やかに支度を調え、長久寺様の本堂前にて行脚の無事円満成就をご祈願いたしました。読経の声にも熱がこもります。曇天の下では気温が上がらず、寒さが身にしみるなかでの出発となりましたが、大きな声で御題目を唱えながら団扇太鼓を打ち、山門から沿道へ出ると寒さを忘れるほどに身も心も高揚していきました。
 
御題目の祈りと異体同心
 今年は3月11日に未曾有の東日本大震災が起こり、7月には台風による水害、また海外においては日本企業も大きな打撃を受けたタイの大洪水が起こるなど、まさに天変地異といえる災害が続発しました。これらの災害で落命された方々、被災され困難な状況に直面されている方々に想いを馳せ、祈りをこめて一心に御題目を唱え歩きました。
 私たちが歩く先には沿道に出て待っていてくださる方々の姿がありました。寒空の下、撃鼓唱題の声が近づいて来るのを浄財を用意して待っていてくださいます。その温かいお気持ちが有り難く、ともに唱える御題目の功徳が多くの皆様に届くようにと祈りながら、歩みを進める足にも一層力が入りました。
 この行脚では、長久寺様周辺の旧甲西町南湖地域を一周すると、一旦、、国道52号線沿線、旧甲西町落合地区周辺へ移動します。ここから再出発し、旧櫛形町まで歩きます。途中、沿道の日蓮宗寺院にお参りさせていただき、本堂前にて法味を言上し、休憩の場所を提供していただきました。各ご寺院のご住職様をはじめ、奥様方や檀信徒の皆様から労いいただき、飲食物のご供養も頂戴し、冷えて疲れた身体が癒されました。このような温かいまごころに私たちの行脚は支えられているのだと、あらためて感謝いたしました。
 私たちは「募金行脚」という一つの目的で行動し、その目的に向かって心を一つにして、御題目を唱え、歩きました。しかしながら、その唱える御題目には私たち僧侶の心だけではなく、尊い浄財を寄せてくださる方々、行脚を支えてくださる皆様の祈りも込められております。すなわち、「南無妙法蓮華経」の御題目によって私たちはお互いにつながり、支え合っているのです。これを自覚し、行動していくことが、私たち青年会の「平和で安穏な社会づくりのための活動」の原点になっているのではないかと、この行脚に参加して感じた次第です。
 
佐藤英煌

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