寂光山 龍口寺

ごあいさつ

◆龍口寺の縁起・歴史
鎌倉時代後期、日蓮聖人は『立正安国論』（りっしょうあんこくろん）を著し、法華経の教えに従うことで国家の安寧と民衆の救済を実現しようと説きました。
この活動に危機感を抱いた幕府は、日蓮聖人を龍ノ口で処刑しようとしました。しかし、「江ノ島の方角から満月のような光が飛び来たる」 という出来事が起こり、斬首を命じられた役人たちは恐れおののき、その場にひれ伏したと伝えられています。 龍ノ口刑場で処刑中止となったのは、日蓮聖人ただ一人。こうした奇跡の出来事を経て、この地が尊い霊場として広く知られるようになりました。

その後、1337年に日蓮聖人の直弟子である日法聖人がこの地に堂を建立し、日蓮聖人像や「首の座」とされる敷皮石を安置したことが、龍口寺の始まりです。
かつては住職を置かず、輪番八ヶ寺といって、近隣8つの寺院が順に龍口寺を守っていましたが、現在は日蓮聖人・四大法難（松葉谷・伊豆・小松原・龍ノ口）の一つ、「龍口法難」にまつわる屈指の霊跡として、貫首を中心に日々仏道修行に勤め、今日まで法灯を継いでいます。

また、毎年９月11日～13日を「龍口寺法難会（りゅうこうほうなんえ）」とし、厳粛かつ盛大に大法要を営んでいますが、12日の夕刻から夜にかけては近在講中の方たちによる数々の万灯（まんどう）が奉安され、門前には夜店も立ち並び、大変な賑わいとなります。
日蓮聖人が牡丹餅を供養された故事にちなみ、龍口寺では手作りの牡丹餅を供え、災難を免れるという「難除けの牡丹餅」を縁起物としてみなさまにもお配りしています。
詳細はこちらもご覧ください≫龍口寺ホームページ

◆光彩る寺、龍口寺
「光彩（こうさい）」――それは、生命の力強さと、人々の心に宿る可能性が放たれる瞬間を象徴する言葉です。
龍口寺は、この“ひかり”の源となる場所でありたいと、いつの時代も願い続けてまいりました。

法華経の教えを体現し、不屈の精神と深い慈悲をもって生き抜かれた日蓮聖人。その魂は、今もこの地に脈々と息づき、訪れるすべての人々を優しく包み込んでいます。なかでも、龍口寺の地に深く刻まれた「龍口法難（りゅうこうほうなん）」は、希望と信仰の象徴として多くの人々の心に深い感動を与え続けています。

龍口寺は、日蓮聖人の精神と教えを受け継ぐ特別な霊跡本山でありながら、宗派や文化を超えて、どなたでもお越しいただける開かれた寺院です。信仰の場としての役割を大切にしながらも、湘南・藤沢・江ノ島の自然豊かな地域と共に歩み、歴史と文化、人と人とのつながりを育んできました。

この湘南・藤沢の地には、自然の光、歴史の光、そして日蓮聖人の教えの光が響き合い、未来を切り開く力が宿っています。龍口寺は、そうした光を守り伝える場として、過去から現在、そして未来へと続く時の流れの中で、地域と共に連綿と歩み続けています。

陽光あふれる藤沢・片瀬の地に立ち、日蓮聖人の教えとその精神に触れていただくことで、皆さまの心に新たなひかりが灯りますように。そして、穏やかで平和なひとときを過ごしていただけることを、心より願っております。