お衣にまもられて

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初秋の候、皆様如何お過ごしでしょうか。

「お衣」と言いますと、僧侶が着るものという考え方が一般的だと思います。
しかし、お檀家さん皆様が着ることができるお衣もあります。
それを、「行衣(ぎょうえ)」と言います。

もともと修行者(行者)が着る白い綿・麻で作られたお衣です。
滝にうたれる修業をする方々が着ている白いお衣です。

日蓮宗では、全身に着る白いお衣ではなく、上半身のみに上着のように着ます。
さらに背中には日蓮聖人のお曼荼羅が描かれております。
これは、法華経・日蓮聖人の教えに守られながら、自ら教えを背負い、信仰心を高めます。

そして、日蓮宗の本山やご寺院を参拝するとき、この行衣を持っていきましょう。
参拝寺院にもよりますが、行衣の背中に参拝の証として、ご首題(ご朱印)を押してくださいます。
熱心な方になりますと、どの部分に押してよいか分からないぐらい、たくさんご首題を押してもらっている方もいます。

このように、自らの信仰心と法華経を弘める決意を表したのが行衣です。
さて、この行衣の持ち主がいよいよ最後を迎えたとします。
その際、お棺の中に行衣を入れていただければ、「経帷子(きょうかたびら)」となります。

経帷子とは、浄土へ向かう際のお衣と言われており、ご霊位を温かく包むお衣です。
このように、行衣は、現実世界では信仰の証として、死後の世界では浄土でのお衣として、常に法華経によって温かく包まれると思います。
 

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