妙法蓮華経の持久走 二周目 六 薬王菩薩

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 薬王菩薩は、有名な文殊師利菩薩、普賢菩薩、弥勒菩薩に比べれば無名の菩薩さまです。その名の由来は、前世において弟の薬上菩薩とともに、長者であり、仏法を弘めるため、様々な薬を配って人々を救い、法を説いたことから、薬王菩薩という名になりました。
 時にはお釈迦さまの脇に控える、脇侍の菩薩とされますが、お釈迦さまの脇侍は文殊師利菩薩と普賢菩薩ではないのかな、と思ったりします。またお釈迦さまが弥勒菩薩に、「薬王菩薩と薬上菩薩はのちに成佛する」と告げたなどどいう記載もあります。次の成佛予定者である弥勒菩薩に、わざわざ告げるというのもなんだか不思議です。

 そのような薬王菩薩は、法華経において大活躍されます。お釈迦さまは、みずからが亡くなった後、娑婆世界での法華経布教を薬王菩薩に勧めます。他の菩薩は「娑婆世界は布教が難しいので、他の世界で布教します」などと申しますが、薬王菩薩は、素直に娑婆世界での布教を誓うのです。
 またお釈迦さまは、薬王菩薩の過去世における修行を、人々に説きます。薬王菩薩は過去世に、佛さまを供養するために、みずからの体に火をともし世界を照らしたり、弟の薬上菩薩と協力して、両親を仏法にみちびいた過去を説かれます。
 そして薬王菩薩は、法華経を弘めようとする者に陀羅尼咒(だらにしゅ)という呪文をあたえ、守護するとも誓われます。

 どうして薬王菩薩は特別なのだろうと思い、本を繰ると、薬王菩薩は持経福徳の人であり、多聞深解の者なりとあります。だからこそ、多くの菩薩が「お釈迦さまがいらっしゃった時も大変だったのに、亡くなった後の布教は無理です」というのにたいし、薬王菩薩は「この娑婆世界で布教します」と誓えるのであります。そして皆の御手本として、お釈迦さまが薬王菩薩の過去の修行を説かれるのでしょう。

次回は7月1日頃に投稿します。

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