だんしんきょう 平成28年 11月号

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日蓮宗と私 
 
   

日蓮宗全国檀信徒協議会常任委員  
日蓮宗岩手県檀信徒協議会会長
日蓮宗砥森山法華寺総代
菊池 岩男 氏
 
 
 私の曾祖父母は臨済宗の檀家でしたが、熱心な法華経信徒で、妙宗会講中を結成して地域の信徒と一緒に信仰していました。お堂で毎日、唱題行をして、熱心にお題目の「おかげさま」を説いておりました。小学生の頃は、提灯持ちをして寒修行をして歩きました。私たち5人兄妹はそんな環境で育ち、信仰心を育ててきました。
 兄は中学を卒業すると「身延山の高校に行くから」と言って、ひとりで身延山へ旅立って行きました。当時私は中学2年生。正月休みに出稼ぎから帰ってきた父親が「敏夫(長兄で現在・遠野市法華寺阿部是秀住職)は僧侶になるから、お前は大工になれ」と言われて、中学卒業後、花巻の親戚の家に大工の見習いとして弟子入りしました。棟梁の家も法華経の信徒で、朝夕のお経、お題目を毎日唱えていました。兄が身延山大学を卒業して、大阪の妙法寺に修行に行ったと聞きました。それから2年後、法華寺に帰ってきました。
 昭和40年代に結婚をして、男2人、女1人の子どもに恵まれ、仕事、子育てと多忙な日々を送っていました。ところがあるとき、子どもたちが次々急病にかかりました。私ども家族もお題目におすがりして、必死に唱題行をしました。するとご加護があって、子どもたちは快方に向かい、退院して、元気に学校に通えるようになりました。日蓮宗のご祈祷と教えは素晴らしい。お題目の力は、人の苦しみや悩みを救う、教えなのだと実感しました。
 それからは、前にも増して法華寺にお参りするようになり、青年会活動をはじめ、毎年2月11日に行われる春の大祭やくばらい・星まつり祈祷祭、お盆の御霊魂祭りの2大行事には参加奉仕しています。そして、家族、会社、社員共にご守護に感謝しながら、法華寺参りを重ねています。
 日蓮宗のお題目におすがりして40数年。現在は全国檀信協常任理事という役を頂き、兄は、東北教区長、宗務所長を務めています。忙しい日々でありながらも、法華経のご守護が結んだ数々の縁に支えられ、数えきれないほどの、「おかげさま」があって、今の自分たちが在るのだと、感じずにはいられません。
 今の世には、だんだんと「おかげさま」の心が薄くなっているように思います。今あることを不満に思い「何々のせい」とするのではなく、「あの人のおかげ」そして「お題目のおかげ」「お祖師さまのおかげ」と思うことができれば、1人ひとりの心も明るく、逞しくなり、もっと良い世の中になるのではないでしょうか。
 日蓮聖人降誕八〇〇年に向けて、「おかげさま」という感謝の心を形にさせていただけるよう、法華経と南無妙法蓮華経にしっかりとおすがりして、信仰心を強く育み、1人でも多くの人とお題目をお唱えして、合唱し、感謝の心を形に表せるよう、頑張っていきたいと思います。
 

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