2月3日、妙恵寺節分会「節分には桃を投げる!?」

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こんにちは、副住職です。
先日2月3日に当山妙恵寺の節分会を奉行いたしました。
法味言上、星祭の御祈祷、住職による今年の九星別運勢のお話、みんなで豆まき、楽しい福引大会と、盛り沢山の内容でございました。
檀信徒の皆様をはじめ、近所のお子さんにもお越しいただきまして、誠にありがとうございました。 

今回も節分にちなんだ住職のお話をまとめましたので、ご覧ください。

節分とは何かといいますと、旧暦の大みそかが節分で、元日が立春に当たります。
もともと節分は、年の変わり目であると同時に季節の転換点なのです。
季節を方角に配当しますと、北が冬、東が春、南が夏、西が秋となって、循環していきます。
節分は「陰の極」、立春は「陽の始まり」。
気学の基本は陰陽五行の法則から成ります。
陰と陽、マイナスとプラス、寒いと暖かい、女と男、等々・・・、
世の中のすべての事象は、陰と陽の太極において、微妙なバランスが保たれています。その中で「木・火・土・金・水」という五行、すなわち元素や原子のような働きをもつ大気が循環して、お互いに引きつけ合ったり、離れたり、複雑に絡み合いながら、あらゆるモノや生命が創造されているという考え方に立って、その法則を論じるのが陰陽五行説です。
 
では次に、なぜ節分には豆をまくのか、ご存じでしょうか?
よく言われるのが、豆を煎って「魔」の「芽」が出ないようにする。
「魔」の「目」を射る。
「魔」を「滅」する。
これらは俗説で、語呂合わせというか、ダジャレのようなものですね。
 
「豆をまく」というより、「豆を打つ」というのが本来のはずですが、場所によっては、桃を投げるという話もあります。
ああ、桃太郎の鬼退治から来ているのかな?と考える人もいるかもしれませんが、そんなに単純な話ではありません。
少し学問的な話になりますが、固いものや丸いものというのは、陰陽五行では「金気」に属します。ですから固い豆や丸い果実を投げてぶつけることは、「金気」を痛めつけることになるのです。
では、なぜ「金気」を打つのか。
「木・火・土・金・水」の五行の摂理として、木気は火気を生じ、火気は土気を生じ、土気は金気を生じ、金気は水気を生じ、水気は木気を生じる、というプラスの作用があると説きます。これは相手を生み出すということから「相生」の原理といいます。
いっぽう、木気は土気を剋し、土気は水気を剋し、水気は火気を剋し、火気は金気を剋し、金気は木気を剋する、というマイナスの作用があると説きます。これは相手を剋するということから「相剋」の原理といいます。
この摂理の中で、季節が春を迎えるのは「木気」の働きとされます。その「木気」に対してマイナスの作用を及ぼすのが「金気」になります。
すなわち「金剋木(きんこくもく)」「金気は木気を剋する」の原理に着目するのです。
春を迎えるためには「木気」の作用を活性化する必要がありますから、木気に対してマイナスの作用をする「金気」を抑える必要がある、ということになります。
つまり、木気が働きやすいように、金気を抑制するという哲理があるのです。
だから金気に属する固い豆を打つのです。
桃をぶつけるのも同じ意味合いで説明がつきます。
「金気」を抑制することによって、春の気である「木気」が出やすいようにするという意味があるわけです。
このように陰陽五行説を知ると、日本古来の行事や儀式の意味合いがよく分かるようになります。
たとえば、節分の豆は安産の御守とされる場合があります。これは「金気は水気を生じる」という相生の原理から来ているとも考えられます。
 
さて、この陰陽五行の法則に立脚した「気学」に基づいて、今年の九星別の運勢を見ていきたいと思います。
 
今年は一白水気性の年であります。
気学では、大気の循環の法則にしたがって、あらゆるモノや生命が創造されるという考え方に立ちますので、人間も大自然の一部としてとらえます。
ですから、各人が生まれた時に最初に吸った大気の状態によって、大自然の営みの中でどのような働きや傾向性があるのかを現象学的に割り出して、人間の持って生まれた性格、性情というものを判断します。
それはけっして初めから運命が決まっているという考え方ではなく、あくまでも自己の性格や特徴を認識し、バイオリズムを意識しながら、自覚的に生きるための智恵を教えるものです。
そうした意味で、運命ではなく、運勢なのです。
 
※それぞれ九星別の今年の運勢のお話は、ネットに公開いたしますと字面だけの解釈に陥ってしまいますので、掲載は差し控えさせていただきます。
運勢のお話はデリケートな部分でありますので、きちんと面と向かってお伝えさせていただきたいと思います。
それぞれの運勢について、詳しくお知りになりたい方は、当山妙恵寺まで足を運んでお尋ねいただければと思います。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 
こうして毎年、節分会にご参詣いただいた方には、九星別の運勢のお話をしていますが、けっして1年だけの単位ではお考えにならないで下さい。私どもの人生というものは、1年1年の積み重ねで、ずっと繋がっています。
どうか今年は悪い年だからと単純に悲観したり、今年は良い年だからと浮かれたり慢心を起こしたりしないで下さい。
ご自分にとって今年はどのような課題があり、どういうことに注意しなければいけないのか、将来に向けてどんな準備をすべきなのか、他人との関係をどのように保つべきなのか。
今年コツコツと準備をしたり、実行したことが、何年後に結果が現れてくるのか?
そうした長いスパンで物も見たり考えたりするのが気学の大事なポイントであります。
人それぞれに環境が違いますから、けっしてお話した通りになるというものではありません。
占いとか運勢を判断する方は、時おり決めつけるような言い方をする人もいますが、そうではなく、我々にとっては信仰というものが第一です。
信仰によってこそ、困難なことも乗り越えることができるのです。
ですから、運勢に支配されてしまって、物事を固定的に考えたり、頑なになるのが気学の教えではありません。自分自身がどのような自覚をもち、他人との関わり合いの中で、どうやって自分を処していくか、その身の処し方を教えてくれるのが気学なのです。
皆様にはぜひとも、このようにお考えいただき、あくまでも謙虚に手を合わせて、目に見えない世界からいつも守られているんだという信仰心を中心として、九星気学の知識を付随的に活用していただければと存じます。
 
以上が住職の気学のお話でした。
その後、皆様と共に、春の訪れを祈って豆まきを致しました。



沢山の豆の中から、大人の方には黒塗りの豆、お子さんには朱塗りの豆を探していただき、拾った方には楽しい景品をプレゼントするという新しい試みもありました。
そして、最後に庫裏に移動して会食し、当山名物奥様チョイスの福引大会も行いました。


豆まきから福引まで、子供から大人まで皆様の沢山の笑顔にあふれた節分会になりました。
ありがとうございました。
 
次回の御題目講は2月19日14時から行います。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
合掌
裕真。

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